どうしているの?ねぇ、先輩…



ひと気のない廊下の奥で足を止めた瞬先輩が、こっちに振り向いて……

少しむっとした顔で、言う。


「仲いーのな、“章くん”と」

「え、」


むっとした顔は、怒っているみたいで……


え、…瞬先輩、怒ってる?



「先輩、怒って、」

「髪」


伸びてきた先輩の手が……私の髪に触れた。


「触らせないでよ。”章くん”に」

「、…」

「つーか、他の男に」



……怒ってる。

やっぱり瞬先輩、怒ってる。



「あと、昼休み体育祭のチーム決めるから生徒会室集合な」



業務連絡みたいに言って、先輩が素っ気無く横を通り過ぎて歩き出す。

どうしよう、ほんとにすごく怒ってるのかも。



「あの、」

「あーっ、ごめん」

「……え?」

「器ちっさすぎて、自分でビビるわ」


通り過ぎてすぐに立ち止まった先輩が、もう1度私の方に振り向いてくれた。

気まずそうに首根っこを掻きながら、先輩はボソッと言う。


「俺ちょっと、七瀬のことに関しては、物凄い、かも」



物凄い、って……なにが。



「今まではこんなんじゃなかったんだけどな……」


だから……なにが。


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