どうしているの?ねぇ、先輩…



ガラガラって先輩が開けたのは、本当になんの為にあるのか分からない、多目的室のドア。

文化祭では使うけど、普段の授業で使ったことは今のところ1度もない。


連れ込まれるように初めて入った多目的室は、殺風景だし掃除もしていないからか、ホコリっぽくて薄暗かった。


「ごめん、お茶持たせたままだった」

「いえ」


先輩の手が、私の持つお茶に伸びてきた……けど。

お茶を取るとき少しだけ、先輩の指が触れて……

そんな些細なことへの動揺で、手を離すタイミングを間違えた私はペットボトルを落としてしまった。



鈍い音が、多目的室に響く。



「ご、ごめんなさい」



指先が、ちょっと触れただけなのに……

こんなことで動揺している自分が恥ずかしくて……顔を隠すようにしゃがみ込んでお茶を拾った。



「……ヘコんじゃった」



ペットボトルが、落ちた衝撃でヘコんでる。



どうしよう、物凄く恥ずかしい。

落としたの、指が触れたからだって絶対バレてる。


やだな……こんなの恥ずかしすぎる。


< 339 / 550 >

この作品をシェア

pagetop