どうしているの?ねぇ、先輩…



「じゃあ終わる時間に迎えに行く。仕事頑張って」

「先輩も、大学頑張ってください」


駅について、しばしの別れの時間が訪れた。

と言っても、約9時間後にはまた会えるけど。



「……」

「…?」


また会える、はずなのに……。

瞬先輩が手を、離さない。


名残惜しそうに私の手を掴んでいるから、「頑張って」を伝え合ったあともそこから歩き出せずにいる。


「…悪い、仕事遅れるよな」

「そう、ですね」

「あー、でも離したくねんだけど。こういうとき、どうすればいいの」

「え、私に聞かないでください。先輩のほうが経験豊富なんだから」

「ちょ、それ勘違い。昔も言ったけどそんなことないんだって」

「でも、今日も自然と手繋いでた……」

「それはっ……って、マジで遅刻するな。とりあえず、すっげー嫌だけどどうにか離す」


そんな宣言のあと、渋々……本当に渋々、先輩の手が離れていった。


「よし、じゃあまた後で。いってらっしゃい」

「いってきます」


気持ちを吹っ切るように、先輩が笑顔で送り出してくれる。

歩き出して振り向いて、お互いに手を振り合って……


私たちはそれぞれの場所へ向かっていった。


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