どうしているの?ねぇ、先輩…
「相変わらず“章くん”だもんな」
「え?」
「昔っからずーっと“章くん”」
「なにが」
「高校のときから“章くん”が、俺につきまとってくんの」
章くんが、瞬先輩につきまとう。
その姿を想像してみるけど、よくわからない。
「美香のこと気になんなー。あ、好きかもしんねぇ。いや好きだろこれ、まじかよやば、どうしよう、って」
「……」
「そう思ってからずーーっと!章くんが俺ん中につきまとってくる」
「つきまとって……」
「まぁ、うん。ってことで、ご馳走様でした!」
「えっ」
手を合わせたあと、食器を持った先輩はキッチンへ消えていった。
怒っているわけではないけど釈然としない態度に、どうしていいのか分からなくてモヤモヤが溜まっていく。
「俺先風呂入ってくるわー」
「あ、はい、行ってらっしゃいませ!」
「美香も一緒に入る?」
「え!?け、結構です!」
「ははっ、焦りすぎ。冗談だって」
私の反応に、先輩が離れた場所で笑ってる。
「……」
その声を聞いて感じたのは、さっきみたいな過去を振り返っての懐かしさ、ではなくて。
先輩の笑い声を、これから先もずっと聞いていたいという未来への想いだった。