どうしているの?ねぇ、先輩…







電気を消した暗闇の中、広くはないお風呂に2人で入った。

チャプン…って、水滴の落ちる音が響く。



「美香、こっち見てよ」

「やだ、無理」

「どうせ暗くてなんも見えねーから」

「無理ですっ」


入ったはいいけど恥ずかしすぎて。

暗いのに本当に恥ずかしすぎて、全然無理。

先輩のほうなんて、1ミリも見られる気がしない。


「そっち向かれたらなんもできねーじゃん」

「なんもって、こんなところでなにするつもりですか!」

「ん? あー、なんだろね」


暗闇の中、先輩が誤魔化すように笑った。

やっぱりダメだ、恥ずかしすぎる。

話をしようと思ってたのに、そんなの絶対に叶うわけないこの感じ。

お風呂なんて一緒に入るものじゃないなって、今更後悔してしまう。


「もういーから、こっち来いって」

「わっ!?」


言葉と共に迫ってきた手が、湯舟の中で強引に私の体を持ち上げた。

先輩の足に乗る体勢になり、支えがなくてグラつく体は目の前の肩に手を置いた。


「ち、近い…」

「いーじゃん」


先輩の手が探るように私の髪に触れ、梳くように耳にかけてくれる。

その手から伝った水が、耳元に流れてポタポタ落ちた。


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