どうしているの?ねぇ、先輩…
「なに、どういうこと?」
でも、瞬先輩が笑ってる。
ということはもしかして、怒ってない…?
「先輩、怒ってたんじゃないんですか?」
「……」
「やっぱり怒ってる!」
ほら!
ほらほらほら!
やっぱり絶対、怒ってる!
「…だってむかつくじゃん」
「えっ」
むっとしたまま、青になった信号に先輩が歩き出す。
私もまた、手を引かれて一緒に歩くけど……今、むかつくって言ったよね。
私のこと、むかつくって……
「あいつさっき、美香のことエロい目で見てた。すげぇむかつく」
「……」
「明日会ったらまじで一発殴らせてほしーわ」
「……え?」
あいつ?
「それって、」
「いや、待って、ごめん、今のなし!」
横断歩道を渡り終えて、先輩はバツが悪そうにそっぽを向いた。
「なんか俺、すっげぇ器小さい男みたいじゃん。ほんと今のなし、忘れて…」
「あいつって、さっきの、」
「いや、もうほんといいから!今すぐ忘れてくださいお願いします」
「……」
「……忘れた?」
「まだです」
えー…って深い息を吐くのに、繋いだ手は離されない。
それがなんだか、すごく嬉しくて。