BLADE BEAST
私は誰かの中で特別になれる。
そうすれば、私を見出せるかもしれない。
見つけて────くれるかもしれない。
結局、無理だった。
父も母も、密かな期待を寄せていた…晄も。
「オネーサン、一人ぃ〜?」
────何処を歩いているのかもよく分からない状態の中、意識すらはっきりしないままに顔をあげれば、いかにも品の無さそうな不良が数人立っていた。
薄暗い路地にいつの間にか迷い込んでいたことも気づかなかった私は、もうどうでも良いとすら思った。
「ノースリにショーパンって露出高いしさ〜。そーゆうの求めて歩いてんじゃないの〜?」
「てか、かなり上玉。ルックスもスタイルも抜群とかマジでアタリ」
「最近イけなくて困ってたけど、オネーサンなら最高のエクスタシィ味わえそ。複数プレイ好き?ご希望に応えるよ?」
上から下までねっとりと見られる感覚。
顔を隠すようにして落ちていた横の髪を耳にかけて覗き込んでくるそれに対しても、何を思うこともなかった。