BLADE BEAST
「あっち広いから、あそこで遊ぼっかあ〜」
一人の男が私の肩に腕を回してくると、かなりのへビースモーカーなのかキツイくらいの煙草の香りが鼻についてきた。
けれど、それももうどうでもよく思う。
移動の途中、ニタニタと笑う男にいやらしい手つきでお尻を撫でられたような気もしたけれど、私は無、極まりなくて。
ドサリと、地面に倒されれば何の色ももっていない私の瞳と下心や欲望に満ちた男たちのそれとがぶつかり合った。
「ほんと白い肌」
「うわ。チョーすべすべ。顔突っ込みてー」
「そのキレーな顔に俺のぶっ込みてぇわ…。あー興奮する」
覆いかぶさるように影ができる。
街灯なんてもんも無いここからも、やはり星を見ることはできなかった。
蒸し暑い夏の夜。肌にゾロリと触れてくる舌や指の感触を覚えながら、ああ…地面は案外ひんやりとしていて気持ちがいいと、思っていた。