BLADE BEAST
さっきまで、私を乱暴しようとニヤついて舌舐めずりをしていた三人は完全に地面に這いつくばって意識を何処かへ飛ばしていた。

腫れ上がった顔に、身体の至る所から出血をしているそれを見ても何も思わなかった。

────奴らのことはどうでもいいから。







だけど、アンタは…違う。



「死んだの?」



眞紘は倒れ伏せった男の髪をまた掴み上げ、さらなる冷酷な瞳を向けていて。

もう決着は完全についたのにも関わらず、 うっすらとした目つきのままスッ…と腕を振り上げるその場面を見たら、私はいつの間にか泣きそうになりながら走り出していた。




────駄目。



別に男達のためじゃない。

これは、眞紘のためだった。





「……もうっ……いいよっ……」





吐き出されたのは、喉の奥からやっと出てくれたような掠れたそれ。

ピタリと動きを止める眞紘からは、やはり甘いホワイトムスクの香りがした。

無我夢中で走り出した先。そこは眞紘の胸元で、思い切り背中に手を回した私は必死になって彼の動きを止めようとしたんだ。
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