BLADE BEAST
そう思ったら、我慢してたもんが一気に溢れ出してしまった。

らしくない。いや、本当はこうだった。ただ蓋をしていただけで私はめげやすく傷つきやすいただの弱い女。





「だから、家を飛び出してきた」

「…」

「行くあても、ないのにね…」




結局、不良に乱暴されそうになってこうやって眞紘に助けられてしまったけれど。

…ギュッと彼のトップスを握った。距離をもっと縮めるように、隙間なんてなくなるようにぴったり寄り添う。

眞紘の温もりがもっと欲しかった。



「…」

「…」



そんな私に、ピタリと一度だけ私の頭を撫でる行為を止めた眞紘は静かに息を呑んでいたような気がする。

数秒、止まって、そしてまた強く抱き締めて。





「…アイツは?」





低く少し尖ったような声でそのワードを出してきた。

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