仮面夫婦だったはずですが妊娠したら、カタブツ社長は新妻への愛を抑えきれない。


 蓮司さんはお茶を一口飲むと、言葉を繋げる。


「俺は昔から、伝えるのが苦手でどうしても簡潔になってしまう。それで誤解させてしまう。だが、咲良を失いたくない、一生離すつもりもない。愛している、ずっと一緒にいて欲しい」

「蓮司さん……」

「咲良、これからもずっと俺と一緒にいてください」


 近くにあった紙袋を取り、その中の小さな箱を取り出した。それを開けるとダイアモンドが入っている。


「私も……蓮司さんが好きです。私もずっと一緒にいて欲しい、ですっ」

「本当? 本当に?」

「本当です……私も蓮司さんが好きなんです」


ずっと好きだった。でも、蓮司さんに愛さないでいいと言われて……両親に言われた通り、後継者のためなんだからとこの想いは鍵をかけていかなきゃと思っていた。


「めちゃくちゃ嬉しい。俺、今咲良を抱きしめたい」

「は、はい。私も、蓮司さんに触れたいです」



 彼に触れたくて仕方ない。これからは好きだって伝えられるんだと思ったら、すごく嬉しくて……。


「大好きです、蓮司さん」

「……そういう可愛いこと言わないで」

「だって、好きなんです……っだめですか?」

「ダメ。キスしたくなるから……」


蓮司さんはそう言ってソッポを向く。だけどすぐに紙袋を私に差し出した。





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