幼馴染からの抜け出し方

 私のせいかもしれない。森谷君に幼馴染の話をするときにいつも私が〝由貴ちゃん〟と呼んでいたから。

 それに、森谷君も森谷君で付き合ってからわかったことだけどかなりの二重人格だ。職場で同期として接していたときは気が付かなかったけれど、彼女になってみると森谷君のたまに出てくる横暴さがとても気になっていた。

 とりあえずここはふたりを引き離そう。森谷君だって私に用事があってわざわざ実家まで来たはずだし。


「由貴ちゃん落ち着こう。森谷君も私に話があるんでしょ」


 素早く由貴ちゃんの背中から抜け出すと私はふたりの間に割って入った。


「由貴ちゃんは先に帰って。ちょっと森谷君とふたりで話してくるから」


 ね?と、振り返って由貴ちゃんを見上げると、なぜか先程よりも険しい顔つきで眉間の皺を深くする。

 こ、こわい。

 整った顔の人ほど怒ったときの表情に迫力があってこわすぎる。


「由貴ちゃんは関係ないから、もう帰っていいよ」


 これ以上、由貴ちゃんが森谷君と顔を合わせている必要はないので帰宅を促す。けれど由貴ちゃんは一向にこの場を動こうとしない。


「ほら、由貴ちゃんーーて、うわっ」


 突然、由貴ちゃんに手首を掴まれてぐっと引き寄せられた。そしてあっという間に私はまた由貴ちゃんの背中に隠されてしまう。

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