幼馴染からの抜け出し方


「帰れるわけないだろ。めぐを置いて。それに、関係ないとか言うなよ」


 私の手首を掴んだままの由貴ちゃんの手にぐっと力がこもる。


「由貴ちゃん……」


 後ろから由貴ちゃんの横顔を見つめると、彼の視線はじっと森谷君を見据えていた。


「なぁ由貴ちゃん。俺はめぐみに話があるんだって。そいつ渡してくれない?」


 そんな私たちを見ていた森谷君が、さらに由貴ちゃんを挑発するようなことを言ってくる。それに煽られてますます由貴ちゃんの怒りがヒートアップするかと思いきや、由貴ちゃんは一度深く息を吸って吐き出した。

 それからゆっくりと口を開く。


「めぐから聞いた。あんたに二股されたって。あんたにはもうひとり別の彼女がいるのに、どうしてめぐとも付き合ったんだよ」


 由貴ちゃんの口調は相変わらず鋭いままだけど、さっきよりはだいぶ落ち着きを取り戻しているようだ。


「あんたのもうひとりの彼女にめぐは頬をたたかれた。めぐはなにも知らなかったのに。悪いのは全部あんただろ。とりあえずこの場でめぐに謝ってほしい」

「謝るよ、これから。だからめぐみとふたりきりで話をさせろって言ってんの。それに俺、めぐみに復縁申し込みに来たんだよ。めぐみの方が本命だって」


 え……どういうこと?

 森谷君の発言に私は一気に頭の中がパニックになる。

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