弔いの鐘をきけ
快晴の下で、喪服姿の行列が墓地へ向かって黙々と歩いている。木でできた棺だけが、場違いなように目立っている。これから、墓穴を掘り、棺を埋めるのだろう。暗くて冷たい土の下へ。
もうすぐ自分もあのように土に還るのだな、とぼんやり物思いにふけっているうちに、淡い桃色の花束を持ったジェシカが戻ってくる。
ふんわりと鼻孔をくすぐる甘い薔薇の芳香とともに現れたジェシカが、ほんの一瞬、可憐な妖精のように見えてニコールは微笑を浮かべる。
「みて、素敵でしょ! おじいちゃま喜ぶかしら?」
「テッドならジェシカが選んだものなんでも喜ぶわよ」
葬列に気づいているだろうに、ジェシカは何も言わないで明るい色で埋め尽くされた薔薇の花束をニコールに押しつける。
「ニコのお母さまやお父さまも? かわいいアレックスも?」
「……ええ。きっと」
名前の刻まれた墓石の前で、ジェシカに華やかな花束を添えてもらう。
あれから何年が経ったのだろう。もう何十年も昔のことだというのに、ニコールはいまも鮮明に思い出すことができる。