弔いの鐘をきけ
憤るジェシカを遮り、ミトは滔々と告げる。
「俺はニコールに君の将来を託された。ジェシカ、君は宝石の原石だ。いまのままでも美しいが、磨けば更に光る才能を持っている。君が幼い頃からずっと見てきた。ニコールに愛された天使。この先、己が綴る物語で生きていこうと考えているのなら」
海よりも深い碧い双眸で、ジェシカを射る。
「――俺が、君を磨きたい」
抵抗は許さないと、真摯な瞳に訴えられて、彼女は悔しそうに瞳を伏せる。
本気で拒めば優しい彼はジェシカを解き放ってくれるだろう。けれどそうしたら、二度と彼は自分を見てくれないだろう。ひとりの女として。
当然、編集者である彼に作家の卵として今までのように大切に扱われることもなくなるのだ。
「ずるい、ひと」
「狡くて結構。さあ、どうする?」
ミトの悪魔のような美しい微笑みに、ジェシカは首肯、した。