弔いの鐘をきけ
気まぐれな彼のヒトコト。
そこから動き出した夢。
いつか彼と二人三脚で書いた物語をニコに読ませて驚かせてやろうと。
だけどニコは――……
そこで、ジェシカは覚醒する。
すこしのあいだ、眠っていたみたいだ。
拘束されていた腕はいつの間にか解かれていて、裸の身体には毛布を巻きつけられている。身じろぎしたら股の間からどろりとした粘液を感じた。これはきっと自分の血と愛液と彼の精液。真っ白だったシーツにも点々と赤い血の痕がついていて、彼女を慌てさせた。まるで赤い薔薇の花びらみたいな破瓜の証を前に、ジェシカは夢ではなかったのだと思い知る。
そんな彼女を観察していた海の色の瞳が、心配そうな声を出す。
「気がついたか」
「……ミト」
「無理させて、すまない」
「いまさらすぎない?」
はじめてなのに容赦なくジェシカを抱いたミトは、けだる気な表情の彼女を見て、乾いた笑みを見せる。
「そうだな……いまさらだ」
黄金色のジェシカの髪を優しく撫でながら、ミトは呟く。
「ずっと、愛してたんだ」
それは、誰に向けた言葉なのか。
ジェシカは黙り込んで、ミトの言葉のつづきを待つ。