弔いの鐘をきけ

 けれどもミトは、それ以上何も言ってくれない。
 教会の弔いの鐘の音ももう、きこえないーー時間の感覚がわからないが、ニコールの葬式は既に終わったのだろう。家族は戻ってこないジェシカとミトのことをどう思っているだろう。ニコールの棺が埋められるのを見て逃げ出したジェシカを、ミトがどうにか慰めているだろうと納得してそうな気がする。
 事実、身体で慰められて天国に近い場所まで何度も連れて行かれてしまったジェシカだけど……
 はぁ、と悩ましい息をつきながら、ジェシカはミトに冷めた視線を送る。

「天国に、おばあちゃまはいなかったわ」
「……」
「ひとは死んだら、冷たい土の下よ」
「ああ」
「嘘つき」

 淋しそうに泣き笑いするジェシカに、ミトは反論しない。

「……だけど、ミトが連れて行ってくれた、あたしを女にしてくれた天国には、ニコも行ったことがあるんだよね」
「だろうね。あいにく、俺が連れて行ったわけじゃないけど」
「死んだおじいちゃまかしら……?」
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