弔いの鐘をきけ

 ふふ、と柔らかな笑みを見せたジェシカに、ミトは海色の瞳をまるくする。少女だった彼女は、すでに艶っぽさを併せ持つ女性へと生まれ変わっていた。このまま手放すことなどできない、これからも彼女を自分の傍に置いておきたい。原石のような才能はもとより、可憐で無垢な彼女を磨いて磨いて磨き上げて――……

「俺も――ジェシカを何度でも、天国に近い場所まで連れて行ってあげるよ」
「ミトが愛しているのはニコでしょ。若い頃の写真がどうのこうのってさっき」
「ニコールの若い頃の写真を見て美人だなと思ったのは事実さ。その写真に生き写しの少女が目の前に現れたら、恋に堕ちるのは自然なことだと思わないか?」
「……あたし、わからないの」

 恋なんかしたことない。たぶんきっとこの先も。
 ボーイフレンドをひとりも作ったことのない孫娘を心配していたニコの話を聞いたミトなら、そのくらい理解しているだろうに。

「だけど、俺に抱かれることを拒まなかった」
「だってそれは打算が働いたから」
「そう仕向けたのは俺だよ」
「うん。ずるくて嘘つきで……なのに憎みきれないのはどうして?」
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