弔いの鐘をきけ

 瞳を潤ませながら責める彼女の声は、媚薬のように甘くて、毒を持っている。
 ミトは困惑したようすで言い返す。

「ニコールへの愛と、君への愛は似ているようで、違うからな……」
「え」
「だけど、ニコールへの思慕がジェシカへの恋慕に繋がってる」
「何言ってるかわからないよ」
「わからなくていいよ、今は」

 ニコールを失ったばかりで自分も混乱しているのかもしれない。ミトはそう言って、ジェシカの身体から毛布を剥ぎ取る。真っ白だった彼女の肌には、ぽつりぽつりと彼が刻んだキスマークが花を咲かせていたが、ジェシカはまだ、気づいていない。

「ちょ……ミト!?」
「起き上がれないんだろ? 湯を用意したから身体を清めてあげる……そのまま横になっていて」
「っ……やだ恥ずかし」
「いまさら?」

 湯桶を持ち出したミトが濡れた布巾で彼女の下肢を拭えば、太ももにこびりついていた血液がじわりと滲み、布巾を染める。羞恥で顔を真っ赤にするジェシカに、ミトが感慨深そうに呟く。


「他の男に奪われるくらいなら、嫌われてでもものにしたかったんだよ……」
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