心理作戦といこうか。
同じ事を三回繰り返し褒める。
プロポーズより前に玲君が選んでいた結婚式場を仮予約から正式に契約をし、着々と準備が始まる中…。



ここ数日か数週間かはたまた数ヶ月なのか、あらゆる出来事に躊躇う日々だ。
それでも毎日どんな些細な事だとしても幸せを感じ噛みしめている。

「わあ~
 凄く綺麗な色~」

鏡に映る自分の姿をくるくる回りながら確認をする。
背中のファスナーは彼不在の為、ドレスの担当者の方にお願いをした。
溜まっている有給休暇を利用してドレスの試着に結婚式を行う結婚式場へと来ている。

「うーん…でも、やっぱり最初に試着した方にしようかな。
 グリーンとパープル…どっちがいいかなあ。」

優柔不断を発揮していると優しい柔らかい声の助け舟が入る。

「今着ているドレスもお似合いですが、最初のドレスもとてもお似合いでしたね。
 どちらもお似合いですから悩んでしまいますね。
 皆さん同じように悩まれますからお時間などお気になさらず何度でも何着でも着てくださいね。」

ドレスの担当の方に優しく声を掛けられ、本日も試着のみで最終判断は次回にしてもらった。
どんなに時間がかかっても常に笑顔で接してくれる彼女にいつも救われる。

結婚式と入籍の日取りが決まり、式の方は殆ど玲君が決めてくれたので私はというと自分のドレスを選ぶくらいなのになかなか決断に至らず……
式の最終的な確認が週末にあるのでその時に最初に着た薄紫のドレスと今着ているミントグリーンのドレスの試着の予約をした。

ウェディングドレスは一目惚れで直ぐに決めれたのに、カラードレスにとても悩む。

人生でさまざまな悩み事がある中でも一番幸せな悩み事だろう。
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