心理作戦といこうか。
上の空になりながらも業務の方はというと滞りなく終わり、腕時計を見ると終業時間だと気付く。
はあとため息を一つ吐いて片付けを始める。

「水谷さん、お疲れさま!
 このあと彼氏と待ち合わせですよね?
 金曜日の仕事終わりのデートって萌えますよね~」

「えっ!?」

ドキッする発言をしたのは菅野さんだ。
今日は何故が玲くんと菅野さんにドキドキされっぱなしだ。

「あれ?だって、今朝の話だと仕事が終わったらモニュメントがどうのって言ってませんでした?」

「えっと・・・。
 確かにお仕事終わったらモニュメントの所に待ち合わせしたけど・・・。
 デートかどうかは……。」

「何言ってるんですか!!
 あんなに格好良く彼女の職場に交際宣言をして、暖かい目で見守って下さいって頭を下げて挨拶に来るなんて本気のお付き合い以外考えられませんよ!
 私だったら、あんなに格好良いところを見せられちゃったらイチコロだなって水谷さんが羨ましいですよ!」

「やっぱり…そうだよね?」

「はい!
 だって、将来の事が決まったら改めて挨拶に伺いますって言ってたじゃないですか!
 実際、結婚が決まったときに挨拶に来なくてもあそこまで言われたら他の男は近付けなくなりましたよね!
 格好良くだけじゃなく相当頭の良いひとなんですね~」

確かに頭の良いひとには違いない。
うん。これは完全に丸め込まれてる…よね?

でも、玲くんに一つ感謝したいなと思った。
それは菅野さんとガールズトークが出来たこと。
とても楽しかったし、幸せな気持ちになったから。
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