心理作戦といこうか。
額にキスをされた後に彼を見ると怪しい雰囲気だったので、軽くあしらった。
「じゃ、じゃあ、わたしは野菜をきりはじめるねっ?」とちゃんとした日本語が喋れなかったけど。

海外生活や一人暮らしで時々、時間のある時は自炊していたようで予想外にも玲くんの包丁やフライパンの手さばきが素晴らしかった。
なので、私はと言うと洗い物に専念をした。

(どっちが主婦か分からないな。ああ。今時は主夫ってあったな。)

ほぼ他人事のように玲くんの手から仕上がっていく料理に感動を覚えた。

本日のメニューは回鍋肉、卵もキクラゲの中華炒め、わかめスープという本格中華だ。
キクラゲなんていつ、スーパーのかごに放り込んだの?と不思議に思ったけどスルーした。

「真琴。それが洗い終わったらテーブルに運ぶの手伝って。」

「うん。分かった!」
最後のフライパンを洗い終え、玲くんお手製の中華料理を次々とテーブルに運ぶ。
(おなか空いた。。。)

「これで最後かな?
 玲くんのお料理って凄いね!!
 さすがだよ~」

「これくらい大したものじゃない。
 お腹が空いただろ?
 座って食べよう。」

ここまで出来る人ってあんまり、いないよ。
褒めすぎても後が怖いからここまで。

「うん。ありがとう。」
さっきのちかちゃんの件を無かったことにするには、これくらいにしておこう。
< 88 / 167 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop