心理作戦といこうか。
今日は何処へ連れて行ってくれるのかな?とわくわくしていると、おもむろに高速道路へ入っていった。
(遠出だったの?)
車でお出掛けとはいえ、そこまで遠くへ行くとは思っていなかった。

「玲くん、今日は何処に行くの?
 高速道路なんてびっくりした。」

「ん?
 ちょっと、そこまで。
 真琴。ドリンクホルダーに飲み物置いてあるから喉が乾いたらそれを飲んで良いからな。」

「うっうん…。ありがとう。」

どこまでも用意周到な玲くんって本当に隙がない。
彼ほど頭の良い人に出会ったことはないけど、恐らく私の人生では最高に賢い人だろう。

「真琴?」

「なに?」
何処に行くの不安が過り、窓越しに見える風景に集中していた。

「後、一時間半は高速走るから次の休憩所で一旦停まる。
 眠たくなったら寝てもいいぞ。
 後ろの座席に膝掛けがあるから使って。」

「うん。ありがとう。
 休憩所に寄ったときに何か買って良い?
 小腹が空いてきた!」

「もちろん。
 フードコートがあるから、そこで食べても良いからな。
 休憩所まで三十分くらいかな。
 寝ていいぞ。」

「うん。。。」

どこまでも用意周到だし、どこまでも優しい。
そんな玲くんを好きにならない女性なんていないだろうと、思う。
車の快適な揺れに眠気を誘われ、玲くんの"寝ていいぞ。"がおやすみなさいの合図になり、私は夢の中へと。。。





『ここまで、完璧だ。』


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