婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。

「私には、３年ほど付き合った、最愛の婚約者がいた。彼女の名前は、セシリア・ローズベリーという」


ピクリと反応しそうになったものの、グッと堪えて続きを促した。


「私は、セシリアの優しさに惹かれた。付き合いが長くなるにつれて、彼女を欲する気持ちは高まるばかり。私の勘違いでなければ、彼女も私を慕ってくれていたと思う」


アルフレッドの言葉に反応しないように自分に言い聞かせながら、じっと話を聞いていた。


「セシリアが１８歳になる日が待ち遠しかった。１８歳になれば、やっと妃として迎え入れることができる。その日を指折り数えていた。
しかし……」


ふっと視線を足元に落としたアルフレッドは、膝の上で握られていた拳にグッと力を込めると、再び口を開いた。