婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「彼女への想いが強すぎるあまり、いろいろなことを冷静に見られなくなっていた。
そうして私は……大きな過ちを犯してしまった」


そう語る彼からは、ただひたすら後悔の念が伝わってくる。
けれど、私にしたら今さらのことだわ。


「セシリアが18歳になる日が近付くと、周りから少しずつ妙な話が耳に入るようになった。彼女が他の令嬢に嫌がらせをしているだの、物を盗んだり、不貞を働いていたり……
冷静に考えれば、セシリアがそんなことをするわけがないとわかっていたはずなのに、でっち上げられた証拠に踊らされ、判断を誤った。彼女を愛しすぎていたために、感情ばかりが先走って、真実が見えていなかった」


アルフレッドが言っているのは、言い訳にすぎない。それを今聞かされても、過去は変えられない。





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