婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「それなら……私を占ってくれないか?」

「占う?」

「そうだ。ライラはここの、人気占い師なんだろ?」

「……わかりました。何を占えば?」

「そうだなあ……将来、私の隣にいる女性はどんな人なのか」


ピクリとこめかみがひくついたのは、しょうがないと思う。

アルフレッドは気でもふれたのだろうか?
ここまでセシリアへの想いを赤裸々に語っておいて、将来の自分の横に、セシリア以外の女性が映し出されても良いと思った上で占えと?

私に、ここまで粗雑に扱われた仕返しだろうか?まあ、こちらにしたら仕返しにもならないけれど。


「わかりました」




アルフレッドの熱い視線を受けながら、全ての雑念を振り払って水晶に集中していく。

浮かんだぼやけた映像が、しだいに明確になっていく。

目を凝らせば、王太子として堂々と立っているアルフレッドの姿が見えた。
今からどれぐらい先だろうか?
目の前に座る彼よりも、幾分大人びて見える。



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