婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ああ……」


アルフレッドの苦々しい表情に、ヴァネッサが今でも次期王妃の座を諦めていないことが想像できる。

アルフレッドの方に受け入れるつもりはないようだけど……


「おそらく……その髪色の女性が私の横に立つことは、ありえないな。しっぽを掴み損ねたが、私の最愛だったセシリアを陥れた中心人物だろう」


やっぱりそうか。
彼女は自分より身分の低い私が、アルフレッドの横にいることに納得いかず、自分こそが相応しいと隠すことなく吹聴していた。


「そうですか」


まあ、今となってはヴァネッサのことなんて、どうでもいい。


「後ろ姿しか見えませんが……」


正直、伝えたくもない情報ですがと、密かに心中で付け加える。



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