婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「ブロンドの髪の女性……」

「ブロンド!?」


ええ、そうね。そう言う反応になるでしょうね。
ブロンドの髪は、セシリアのトレードマークのようなものですから。


「豊かに波打つ髪は、おろせば腰ほどの長さかと……」


じっと私を見たアルフレッドは、わずかに落胆の色を見せた。今の私の髪は、色こそブロンドだけれども……ついでに言えば、生まれつき波打ってはいるけれど……長さはミディアムだ。
働き出してすぐに、バッサリと切ってしまったから。
とすると、今のところ水晶が見せた女性には当てはまらない。


「女性の髪は、伸びるのにどれほとの時間がかかるものだろうか……」

「は?」


物憂げに呟くアルフレッドに、思わず声をあげていた。

目の前に座っているのは、グリージア王国の王太子殿下だと知っている。

けれど、彼は名前こそ告げたがそうだと公言していない。それなら私も、ただの男性だと察していいはずだ。たとえ、後ろに控える護衛騎士の眉間に、もう伸ばせないのではというほど深い皺が寄っていたとしても。


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