婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「さあ?人それぞれですので。それに、伸ばす気のない方もいらっしゃるでしょうしね。いくら待っても……ねえ……」


これ以上ないほどの嫌味だと、自覚はある。


「ラ、ライラは?ライラは髪を伸ばさないのか?すいぶんと綺麗な波打つブロンドだと思うが……」


果たして、アルフレッドはこんな男性だっただろうか?
彼はいつだって優しくて、でも、仕事となれば厳しくもあって……
どんな時も自信に満ち溢れた男性だったはず。

でも、今私の目の前にいるその人は、どこにでもいる青年と変わらない。


「ありがとうございます。ですが、働いていると長い髪など鬱陶しいだけ。今以上の長さに伸ばす予定はないわ」


目に見えて沈んでいくアルフレッド。




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