婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「つ、つまり……」

ああ……答えを聞きたくもないのに、促してしまった。
この2人、自分達の立場をわかっているのかしら?

「俺がその、獣人の商人として潜入すればいいんだろ?」

いやいやいや。
それはあり得ないでしょうよ。


「あなた、第一王子なんでしょ?せめて、他の誰かに……」

「こんなおもしろそうなことを、ジャレットに譲れと?」


別に、ジャレットならどうなってもいいとか、そういうことじゃない。けれど、ここは彼に譲るべきだ。

こう見えても、この人は次期国王よ。そんなこと、許されるわけないじゃない。


ああ。だからこそお世辞にも乗り心地が良いとは言えないこの馬車だったのね。本来なら王家の紋章が入った、豪華絢爛な馬車でもてなすはずだもの。おかしいと思った。

でも、自ら王族をアピールしたような馬車で近付けば、さすがにレナードに勘づかれてしまうもの。


「馬車は、町の入り口で止めておく。そこで軽く変装と打ち合わせをして、レナードの屋敷へ行ってもらう。
念のため、やつに顔の割れていないグリージアの護衛を1人同行させよう。万が一、早々に香草を使われても、知らせを寄越せるはずだ」




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