婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「君はもしかして、私と……セシリアと……婚約者とが別れる場面も目にしていたのか?」

「それは……」

言い澱む私を見て、アルフレッドは自身の膝に置いた手を、ぎゅっと握った。


「ライラがセシリアでないと言うのならそれでいい。ただ、本当のことを教えて欲しい。なにも罰したりなんかしない。もたろん、誰かに漏らすようなこともしない」

真っ直ぐに見据えてくる彼からは、ただ本当のことを知りたい一心であることが伝わってくる。


「あなたとある女性が恋に落ちることも、いずれ無実の罪で断罪されることも、わかっていたわ」

ひゅっと息を呑むアルフレッドの気配に、目を合わせられなかった。


「無実の罪……本当に断罪られるべき人間を間違えた。彼女のことを愛しすぎたあまり、冷静さを欠き……いや、言い訳をしても時はもどらないな」


そう。時はもどらないし、もどって欲しいとも思っていない。




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