婚約破棄されたので、森の奥で占いお宿をはじめます。
「彼女は……セシリアは、私のことを本当に愛してくれていたのだろうか?」

弱々しく問いかける姿は、王太子のそれではない。誰かに想いを寄せて、思い悩む一人の男性だ。

「すまない。こんなこと、ライラに聞いても……」

「あなたは……」


まさか私から返事があるたら思っていなかったのか、視線を足元に落としていたアルフレッドが、顔を上げた。
これだけはちゃんと伝えたくて、正面から彼を見返す。


「前にも聞いたけれど、あなたはその女性の気持ちを疑っているのですか?」

「いや……一度も疑ったことなどなかった」

「では、それが正解じゃないですか?話を聞く限り、相思相愛だったと、私も思いますよ。ただ、あなたのお立場を考えると、冷静さを欠くほど一人の女性に傾倒するのは、危険かも知れませんけどね」

最後は本音の忠告を混ぜつつ、あの時の想いだけは嘘ではなかったと込めた笑みを浮かべれば、アルフレッドもやっと強ばった表情を緩めた。


「彼女は今、幸せでいてくれるだろうか?」

「さあ?どうでしょうね。あなたも早く、ブロンドのお相手に出会えるといいですね」


少しだけ困った顔をしたアルフレッドは、それでも「ああ」と答えてくれた。





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