教えて、春日井くん


「綺梨ちゃん……見すぎだよ」

「ありがとう、春日井くん。すっごくよかった!」

「なにが! なんかやだ!」

見られてるのが恥ずかしかったんだなぁとか。

自分で提案したのに間接キスを意識しちゃってるんだなぁとか。

そんなことを考えながら、春日井くんが伏し目がちになりながら飲んでいる姿が非常に好きでした。

ありのままの感想を伝えると、ぽかんとしたあと恥ずかしそうにしながら再び叱られてしまった。


お互いに飲み終わりそうな頃、春日井くんに明日の放課後の予定を聞かれた。
特に予定はないと答えると、ちらりと私の様子をうかがいながら提案をしてくれる。


「映画かプラネタリウム行く?」

「でも暗がりだよ。私変なことしちゃうかもよ」

「変なことはダメだけど、綺梨ちゃんが行きたいなら、俺は一緒に行きたいよ」

私の希望のデートを却下したことを気にしてくれていたらしい。

優しいなぁと思いながらも、ひとつだけ抜けていることに気づく。ただ忘れただけというよりも……これはもしかして。




< 152 / 182 >

この作品をシェア

pagetop