イミテーション・ハネムーン




「紗季…お酒でも飲む?
それとも、早めに寝る?」

観光を済ませ、ホテルに着いて、食事を済ませると、時刻は九時近くになっていた。
圭吾さんと一緒にいられるのは十時までだ。



「じゃあ、少し飲みましょうか?」

圭吾さんは、ルームサービスでワインを注文してくれた。



昼間の酔っぱらいの女性のことを聞いてみたかった。
なぜあんなことをしたのかと…
でも、なぜか言い出しにくくて…他愛ない話をしているうちに、気付けば十時になっていた。



「明日も楽しもうね。」

そう言い残し圭吾さんは部屋を出て、それと入れ替わりに若い女性が入って来た。



「添乗員の山本です。どうぞよろしくお願いします。」

「よろしく。」

十時からは女性添乗員が部屋に来ることになっていた。
夫役の人と間違いがあっては困るという配慮からだろう。
興覚めはしたけれど、最初から決められていたことだから仕方がない。

私は早めに横になることにした。




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