Young days
『まぁ、莉乃さんが流唯を相手にするとも思えないし、弟の友達だよ?無い無い。仮に流唯が本気だとして…だったらさっさと告ればいぃ。で、フラれちゃった方が諦めも付くってとこでしょ?』


『そんな…。もしフラれでもしたら今度は2週間…うぅん。1ヶ月給食残すかも…。』


真面目に心配する伊織に衣千華は呆れた。


『馬鹿なの?流唯がいつまで経っても告白すら出来ずに莉乃さんの事を思い続けてごらん!?伊織〜。当たって砕けるって分かってる告白でもするつもり?』


伊織は大きく首を横に振った。


『…むしろ、告るつもりもなぃ…。』


表情が固まる伊織に衣千華は困り果てた。


『てか、この際だから聞くけど…伊織はいつから?いつ、流唯の事そんなふうに思うようなった?』


伊織は思い出していた。


『……小5の遠足…かな。』


『遠足?』


『うん。秋の遠足でハイキング行った時。』


『あぁ…ナルが水筒忘れたハイキング?』


『そうそう…。私、歩くの遅くてみんなに付いてくの必死で…いつもみたいに流唯の手を握ったの。ほら〜小さい時から、いっつも手繋いできたし…別にそれが恥ずかしいとも思ってないくらい自然な事だったから…。』


『うん。』


『…でもね、その時…その手離されたんだよね。"恥ずい"って言われて。』


伊織は悲しげに笑った。


『それまで、それこそ兄弟くらいに思ってたし…そんな、そんなふうに思った事なんて…。でもね、その手離された時…すっごいショックで…。自分でも驚く程ショックで。ずっと、いつでも掴めてたはずの手が…なんか急に…って…。全然上手く説明出来ないんだけど…。』
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