Young days
『……そっか。そんなに前から…。』


『でも…まぁ、手は繋げなくなったけどさ。いつだって側に居られるから。』


『ウチら一生一緒に居れる訳じゃなぃんだよ伊織。卒業したら、私は調理師学校、ユヅカナはお菓子の学校、ナルは何してたって生きてけるボンボンだからアレだけど…ウチらはいぃよ。ちょっと街離れたって、結局は戻って継ぐ場所があるから。でも流唯は分かんない。進路決めてないの流唯だけだし、晴ちゃん(流唯の兄)店継ぐ為に美専(美容専門学校)行って、東京のサロンで修行してるって…。だから流唯は分かんない。もしかしたら、この町出るかもしんないよ?一緒に居れるだけでいぃなんて思ってたら、いつの間にか居なくなっちゃうって事もあるんだからね。』


衣千華の勢いに押された伊織。


『…ごめん…ビックリしちゃった…。』



『ビックリも何も、当たり前の事言ってんだけど。この街の高校生は、卒業したらほとんどがこの町を離れる。残るのは数人で、一旦出たら戻ってくる人なんてたかが知れてるって…。』


『そ、そうじゃなくて…。』


『じゃ、何に驚いてんのよ?』


『流唯がここを離れてくなんて…考えもしなかった自分に…驚いてる…。』


『まぁ、確かに流唯がこの町出るとか全く考えられないけど…。絶対なんて言い切れないじゃん。とにかく、もう時間なんてかけてらんないって事。アオハル?んなの、長い長い人生でみたら"秒"で終わるって去年ヒデさんが言ってた。』


『…うん。』
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