会長サマと、夢と恋。
「生徒会、仕事ありましたか? 行かなくてごめんなさい」
「……」
「……あの、会長?」
わたしの目の前まで来て立ち止まった岸会長は、無言でわたしを見下ろしていて。
何だろう、と思って見上げると、……会長の右手がわたしの顔に伸びてきた。
(えっ、えっ……⁉︎)
まるでキスシーン⁉︎ なんて考えて思わず身を引きそうになったけど、
『むにっ』
と、音がしそうな勢いで、その手はわたしの頬をつまんだ。
「いっ、な、なんですか、会長⁉︎」
そこまで痛くはないけど、もちろん男子に顔を触られるなんて経験がないわたしは、今度こそ慌てて一歩下がる。
絶対、顔赤い! ほっぺ荒れてなかったかな、ベタベタしてなかっただろうか、それから……。
「……お前、顔真っ赤」
わたしを見つめてそうつぶやいた会長のほうが、……なんだか赤い顔してる。
(なに? この雰囲気……)
自分の心臓が、うるさいのがわかる。
なんで会長と見つめ合っているのか、会長はわたしの教室まで、何をしにきたのか。
いろいろなことが頭をめぐって、でも考えたってわからないことだらけで。
「会長? どう、したんですか?」
「……なぁ、お前」
「は、はい」
「クラスの男子と、仲良いのか」
(えっ?)
何を言われているのかわからなくて目を見開くと、岸会長はそれまでじっとこっちを見ていた視線をそらして、
「……ほら、さっきの、……終業式でのやつ」
って、ボソッと言った。