愛がなくても、生きていける
「俺の出張、戻る日がちょうどクリスマスの日なんだ。だからその日の夜、予定空けておいてくれる?」
「え?」
「俺も絶対予定空けておくから。……その時に、気持ちをちゃんと伝えさせてほしい」
その約束を糧に、3ヶ月を乗り切ってみせるから。
だから、そのときにはこの気持ちを伝えさせてほしい。
「だからそれまで、他の男のことなんて見ないで待ってて」
小さく頷いた里見さんに、俺は顔をこちらへ向けさせると小さなキスをした。
3ヶ月後を誓う、ふたりきりの約束。
それは、窓辺のオレンジ色の花だけが見ていた。
里見さんとともに夜を過ごした翌朝、俺は営業先からの呼び出しの電話で目を覚ました。
本来なら土日は休みである中のイレギュラーな対応。だけどこれが営業職のつらいところだ、と慌ただしく里見さんの家をあとにした。
まだ眠る彼女は起こさずに、『またクリスマスの日に』と書いたメモだけを残して。
けれどすっかり浮かれていた俺は、里見さんと連絡先を交換していないことを、彼女の家を出てから思い出した。
でも同じ会社だし、3ヶ月後には会えるわけだし……下手に声とか聞いちゃったら、余計恋しくなりそうだし。
帰ってくるまでの辛抱だ。我慢して我慢して、そして帰ったら伝えるんだ。
『好きだ』、って。
『そばにいてほしい』って。