エセ・ストラテジストは、奔走する
"茅人君と、これからどうやって生きてくのか、
私に聞かせて。“
母の問いの答えになっているかはわからない。
でもこれが私の気持ちだと、そう言おうとした時、
寄り添うような声が後に続いた。
「…俺は、言葉が少ないし下手で、
千歳さんを今まで沢山不安にさせました。
前にもお伝えしましたが、
一生かけて俺は気持ちを返していく。
お父さんにも必ず、直接お願いに伺います。
でも今日も、言わせてください。
結婚前提にまず同棲すること、許していただけますか。」
ぽたぽたと静かに自分の瞳から落ちていく涙に誰より早く気づいて、困ったような笑顔を浮かべて、拭ってくれるこの人が好きで仕方ない。
すると母は、隣の椅子に置いていたバッグから再び何かを取り出して、私たちの方へ差し出した。
「……何?」
「今度帰ってくる時の交通費。」
可愛らしい花柄の封筒を受け取って、中身を確認する。
「電車賃にしては、随分多い気が、するけど…?」
「…そりゃあ2人分だからでしょ。」
「え?」
「それ、お父さんからね。
“挨拶に何回もくるの、勘弁してくれ。
本当に結婚を決めた時だけでいい。“だって。」