エセ・ストラテジストは、奔走する





「…あ、るよ。入念に考えれば、きっとある。」

“千歳。“

「……、」

“お前、作戦考えるって最初になった時から「もっと自然に」とか、そんなことばっかり言ってる。

俺も美都も、作戦のクオリティがどうであれ、お前の意志が伝われば良いって思ってやってたけど、お前は違うよな。“


「……、」

理世が続けようとしている言葉なんて、私はエスパーじゃないからわからないはずなのに。
スマホを握る手に力があまりにこもるのは、どうしてなんだろう。


__“結婚したいって思ってること、
相手にバレるの、何をそんな怖がってんの?“



「……理世。」

“何。俺じゃ言いにくければ美都に連絡させるけど。“

「あのね、私、ずっとただ、しがみついてるの。」

“は?“

「…拒絶されるの、どんなに覚悟しても、怖い、」


声が震えてしまった。
私は、どうしようもない臆病者だ。


__茅人。私のこと、まだ、どのくらい必要?



ぽろっと一筋涙が頬を伝う瞬間を逃さないようにすぐに拭う。

こんなの、絶対バレるわけにはいかない。

「……と、とりあえず雑誌届いたら、丁重にベッドの下に忍ばせる。」

“おいエロ本か。
それより待て、マジでお前どうした。
まだマリッジでもねえのにブルーか。
ちょっと美都に連絡させるから。“

拭いながらそう伝えたら、やけに焦った理世の声が届いて少し笑った。

でも「マリッジでもないのにブルー」は余計なお世話だ。

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