エセ・ストラテジストは、奔走する
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「…なんで生協なんだよ。」
「なんでってなに!?学生たちの味方では?」
「お前、出会い欲しいって言ってたんじゃねえのかよ。」
「そりゃあそうだけど、授業終わってそのまま働けるとか、楽だし…」
「そんなラク求めてる奴のところに素敵な恋愛降ってくんのかね。」
「うざ!!自分がリア充になったからってなんだ!」
「マジで俺の彼女可愛いです。」
「そんなこと私の方が知ってるわ!」
「やめてよ2人とも恥ずかしい。」
美都と理世が付き合ったと知って。
仲睦まじい2人を見てたら、恋愛への憧れが加速するのは自然なことだった。
勇気を出して入ったサークルは飲み会が多くて結局離脱してしまったしこれは何か新しいことを始めなければと。
1年生では時間割が詰まっていて、なかなか余裕がなかったバイトをやってみようと決めた。
「千歳ちゃ〜ん、本の整理よろしくね。」
「はーい!」
そうして選んだ生協の書籍部のバイトは、パート勤務のお母様方が多くて、出会いは正直全くありそうに無い。
「千歳ちゃん、バックヤードにお菓子あるから後で食べな〜」
「え!!やったー!ありがとうございますー!」
だけどみんな優しくて、すごく可愛がってくれるし
この職場は正直気に入っている。
「(まあ、恋愛はちょっと休憩期間だね。)」
なんて、高校までも大した経験もないくせに一丁前にそう思いながら、本棚の整理をしていた時だった。