エセ・ストラテジストは、奔走する
走って、走って、家から最寄の駅にたどり着いて。
新幹線は、何時発なら間に合うだろう。
ここから新幹線のある駅はそう遠くは無い。
涙を拭って、スマホでとりあえず時刻表アプリを開く。
「_____千歳!!!」
その瞬間、大きな声で名前を呼ばれて、自分の肩が大きく揺れた。
思わず滑り落ちそうになったスマホを何とか
掌の中に収めたと、そう安堵した瞬間。
「…っ、」
ぎゅう、と、まるで体の全ての力を使ってるのかと錯覚するくらいに強く抱きしめられて、呼吸が止まった。
それから私を包み込むように届いた、
香水とは違う、優しくて心地いい香り。
すぐに分かる。
だって、私の、大好きな人の香りだ。
「…茅人。」
確かめるように背中に手を回したら、
またぎゅっと、腕に力がこもる。
すぐ側で聞こえる息遣いも、心臓の音も、乱れていて、もしかして彼も、走ってきてくれたのだろうか。