お前の隣は俺だけのもの。
碧と一緒に暮らしているのに、知っているのは家を出る時間と帰ってくる時間だけ。

仕事内容の話とかは全くしなくて。

碧の情報は、全部テレビから得ている……。


どうしたらいいんだろう。

せめて、碧がどんな仕事をしているのか知りたい。


……誰かに相談してみようか。

でも、誰に?


頭の中に浮かんだのは、怜央と潤の顔だった。

あの2人だったら、なにか知っているかもしれない。

碧の本当の顔を知っているのだから。


相談してみよう。

私は、テーブルに置かれていたメモを生徒手帳に挟んで家を出た。


足取りは重くて。

だけど、行動しないとなにも変わらないから。


昨日、碧が話してくれた悩み。

碧は自分自身と向き合っているんだな、と感じた。

だから、私も、自分自身と向き合おうと思った。


自分の“碧が好き”という感情から逃げないように。
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