冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
「うん、どーじょ」

 どうやら先ほど翔平がわたしに食べさせていたのを見て、自分も同じようにしたいようだ。

「おっ、ありがとう」

 悠翔が翔平の口にソーセージを放り込む。

「うまい。悠翔が食べさせてくれたから格別だな」

 悠翔は次はわたしに食べろと『どうぞ』してくる。わたしが食べるとキャッキャと喜んだ。

 三人でたくさん食べて写真も撮った。

 こうやって過ごすことが自然になっていけばいいと、笑顔で過ごす毎日を想像してわたしは胸が熱くなった。



 はしゃいだ悠翔は湯船につかるとすぐにうとうとしはじめ、お風呂が終わるとすぐに眠ってしまった。二階の寝室だと心配なのでリビングに続く隣の部屋の和室に布団を敷いて寝かせた。

「今日は朝から忙しかったから、ぐっすり寝てる」

 寝かしつけた後リビングに戻ると、翔平がキッチンから顔を出した。

「飲むだろ?」

「うん」

 彼が手にしていたのは、ワインとグラス。わたしが頷くと、ワインと一緒にカプレーゼとカナッペも運ばれてきた。

「いつの間に作ったの?」

「これくらいそう時間かからないだろ。せっかくだから瑠衣の機嫌を取ろうと思って作ってみた」

「百点!」

 機嫌取るだなんて言ってるけれど、今日のわたしは世界で一番幸せだ。

 さっそくソファに座り、ワイングラスをふたりで重ねた。

「乾杯」とお互い言って、ひと口飲む。

「美味しい。すっきりしてるからいくらでも飲めそう」

 久しぶりのワインにテンションが上がってしまう。

 そんなわたしの口に翔平がカナッペを放り込む。もぐもぐ食べていると満足そうに彼が笑った。

「他にもまだある。後でワインセラー覗いてみるといい」

「ワインセラーまであるの?」

「ああ、叔父の趣味だ。ワインもそのまま譲り受けた」

「ねぇ、翔平の叔父さんってなにしてる人なの?」

 不躾(ぶしつけ)だとは思ったが聞かずにいられない。

「俺の親父と一緒に医療コンサルティングの会社やってる」

「ふーん」

 とりあえず返事をしたもののなにをする仕事かいまいち理解できずに聞き流した。

「そんな話はどうでもいいんだ。瑠衣はここが気に入った?」

「もちろん。悠翔も思い切り庭で遊べるし、海は近いし。本当に素敵だね」

「よかった。実は家を買おうと思ったんだけど、それはさすがに瑠衣に相談してからの方がいいと思って」

「家!?」
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