冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
 奥さんかぁ……母親になったときも感慨深かった。でもそれと同じくらいに彼の妻となることに歓喜する。体中からこぼれ落ちそうな幸せと大好きの気持ち。それらを全部受け止めてほしくてわたしはより一層彼を強く抱きしめた。

 そして彼はそれに応えてくれるべく、わたしにキスの雨を降らす。額、まぶた、目じり、頬。そして耳はとくに時間をかけて舌を絡めてくすぐられる。

 今までそんな自覚はなかったけれど、どうもわたしは耳の刺激に弱い。翔平はそんなことはとっくにお見通しのようで、わたしがダメになるまで続ける。


 そんなわたしを見て彼は余裕いっぱいに微笑む。

「まだまだこれからだ。わからずやの瑠衣には俺の気持ち今から嫌ってほど体中に刻み込むから」

 そう言った翔平の言葉通り、彼の容赦ない愛が体を包み込む。

 見つめ合い、目で訴える。でもそれだけじゃ足りない。

「瑠衣、愛してる」

 首にかみつくような勢いで顔をうずめる翔平。

「んっ……わたしも、ずっと翔平と一緒にいたい」

 わたしの言葉に応えるように彼がわたしの胸元に強く吸いついた。そこには赤い所有の印。これまで一度もされたことがなかった。彼のものになれた喜びがわき上がる。


 気持ちと体が満たされて自然と涙がこぼれた。

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