冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
靴を履く悠翔を待つ間「こんにちは」とだけ声をかける。帰宅時は園庭で遊ぶのを禁止されているけれど、彼女たちのお子さんは母親たちのおしゃべりに飽きて子供同士遊び回っていた。
「できた!」
悠翔の声を聞いて『待ってました!』とばかりに手を引いて歩き出したわたしの耳に「ギャー」という耳をつんざくような子供の泣き声が聞こえて、声の方を見た。
すると子供がひとりジャングルジムの前で横たわって泣いている。
「ダイちゃん!」
立ち話をしていたママさんたちの中のひとりが駆け出す。どうやらそのママのお子さんらしい。
慌てたわたしたちも駆け寄る。すると子供が急に泣き止み、静かになった。
「え、これって……やばいんじゃない?」
ひとりのママさんの声に、ダイちゃんのママが叫ぶ。
「救急車呼んでください!」
騒ぎを聞きつけた先生が、慌てて職員室に走っていく。
それと同時にわたしは悠翔を抱き上げたまま門のところにダッシュした。
「翔平! 大変なの、すぐ来て」
かたくなに門の中に入れることを拒否していたわたしが、急に中に入れと言ったことに驚いたようだったが、遠目になにか騒ぎが起きていることがわかっていた彼は、すぐに事故現場に駆けつけた。
「ダイちゃん! ダイちゃん!」
けがをした息子を抱き上げたママが、体を揺すって意識を取り戻そうとしている。
それを見た翔平は「揺らさないで、そこに寝かせて」と声をあげた。
みんなが一斉に翔平を振り向く。駆け寄る彼の前にいた保護者の方は道をあけてくれた。
「お母さん以外、みなさん少し離れてください」
翔平はすっかり目を閉じ動かないダイちゃんの横で、意識、呼吸、脈の確認をしている。
「私は、帝都病院の医師です。お母さん落ち着いて。脳震盪(のうしんとう)を起こしている可能性が高い。もちろん他に異常がないとは言えないので、しっかり検査しないといけませんが」
涙を流す母親は、医師が現れたことで少しは落ち着いたようだ。
「救急車もうすぐ来ます」
副園長先生が状況を知らせてくれた。そこで翔平は自分のスマートフォンを取り出して電話しはじめる。
「循環器の君島だ。二歳の男の子。ジャングルジムから落下。意識なし、呼吸、脈あり。外傷など出血は見られない。今日の夜勤の先生は……わかったそっちに運んでもらうように言う」
「できた!」
悠翔の声を聞いて『待ってました!』とばかりに手を引いて歩き出したわたしの耳に「ギャー」という耳をつんざくような子供の泣き声が聞こえて、声の方を見た。
すると子供がひとりジャングルジムの前で横たわって泣いている。
「ダイちゃん!」
立ち話をしていたママさんたちの中のひとりが駆け出す。どうやらそのママのお子さんらしい。
慌てたわたしたちも駆け寄る。すると子供が急に泣き止み、静かになった。
「え、これって……やばいんじゃない?」
ひとりのママさんの声に、ダイちゃんのママが叫ぶ。
「救急車呼んでください!」
騒ぎを聞きつけた先生が、慌てて職員室に走っていく。
それと同時にわたしは悠翔を抱き上げたまま門のところにダッシュした。
「翔平! 大変なの、すぐ来て」
かたくなに門の中に入れることを拒否していたわたしが、急に中に入れと言ったことに驚いたようだったが、遠目になにか騒ぎが起きていることがわかっていた彼は、すぐに事故現場に駆けつけた。
「ダイちゃん! ダイちゃん!」
けがをした息子を抱き上げたママが、体を揺すって意識を取り戻そうとしている。
それを見た翔平は「揺らさないで、そこに寝かせて」と声をあげた。
みんなが一斉に翔平を振り向く。駆け寄る彼の前にいた保護者の方は道をあけてくれた。
「お母さん以外、みなさん少し離れてください」
翔平はすっかり目を閉じ動かないダイちゃんの横で、意識、呼吸、脈の確認をしている。
「私は、帝都病院の医師です。お母さん落ち着いて。脳震盪(のうしんとう)を起こしている可能性が高い。もちろん他に異常がないとは言えないので、しっかり検査しないといけませんが」
涙を流す母親は、医師が現れたことで少しは落ち着いたようだ。
「救急車もうすぐ来ます」
副園長先生が状況を知らせてくれた。そこで翔平は自分のスマートフォンを取り出して電話しはじめる。
「循環器の君島だ。二歳の男の子。ジャングルジムから落下。意識なし、呼吸、脈あり。外傷など出血は見られない。今日の夜勤の先生は……わかったそっちに運んでもらうように言う」