冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
電話を切った翔平は震える母親の肩に手を置く。
「帝都病院で受け入れ可能とのことです。すでに連絡して準備をしてもらっています。気を確かに、大丈夫ですから」
母親はうんうんと頷くことしかできず、抱きしめることができない代わりにギュッと子供の手を握っていた。
すぐに救急車が到着した。救急隊員に医師であることと帝都病院で受け入れが可能であることを伝える。
「お母さん、しっかり」
声をかけた翔平の腕を、その母親が掴む。
「一緒についてきてください。わたしひとりでは……」
翔平がわたしを探して視線を向ける。
「瑠衣、遅れるけど、必ず行くと伝えてくれ」
「わかった」
わたしの返事を聞くと、救急車に乗り込んだ翔平はそのまま病院に戻っていった。
救急車が行くと、周りの人たちも一安心したのか空気が緩んだ。わたしもホッとして悠翔を抱き上げて帰ろうとすると、ひとりのママさんに呼び止められた。グループを束ねるボス的な存在の人だ。
「あの方、山科さんのお知り合い?」
「え、あの……そうです」
「もしかして、悠翔くんのお父さん?」
ああ、やっぱりそう思うよね。だって顔がそっくりだもの。
変に否定しても話がややこしくなるだけだ。わたしは諦めの境地で「はい」と短く答えた。
「素晴らしいわね! 悠翔くんも賢いからきっとお父様も立派だってみんなで話をしていたのよ」
嘘ばっかり、悠翔の父親は刑務所に入っているとか言ってたくせに。
それまで嫌悪の視線を向けてきていたのに、手のひらを返したような態度に驚く。医師という肩書きがここまでものを言うとは……。
なにかまだ話をしたそうなママさんに「失礼します」と声をかけて、早々にその場を辞した。
悠翔と手を繋ぎ、ゆっくりと実家を目指す。
――翔平、カッコよかったな。
不謹慎だけどそう思ってしまった。悠翔もいつか翔平の背中を見て色々思うんだろうな。
そんなことを考えながら、実家の父と母にどうやって説明するか考えながら歩いた。
実家では母が応接間に食事を用意して待っていた。
しかし帰ってきたのがわたしと悠翔だけだったので「喧嘩でもしたの?」と問い詰められた。
急な仕事が入ってと説明するとホッとした顔をしていた。
「帝都病院で受け入れ可能とのことです。すでに連絡して準備をしてもらっています。気を確かに、大丈夫ですから」
母親はうんうんと頷くことしかできず、抱きしめることができない代わりにギュッと子供の手を握っていた。
すぐに救急車が到着した。救急隊員に医師であることと帝都病院で受け入れが可能であることを伝える。
「お母さん、しっかり」
声をかけた翔平の腕を、その母親が掴む。
「一緒についてきてください。わたしひとりでは……」
翔平がわたしを探して視線を向ける。
「瑠衣、遅れるけど、必ず行くと伝えてくれ」
「わかった」
わたしの返事を聞くと、救急車に乗り込んだ翔平はそのまま病院に戻っていった。
救急車が行くと、周りの人たちも一安心したのか空気が緩んだ。わたしもホッとして悠翔を抱き上げて帰ろうとすると、ひとりのママさんに呼び止められた。グループを束ねるボス的な存在の人だ。
「あの方、山科さんのお知り合い?」
「え、あの……そうです」
「もしかして、悠翔くんのお父さん?」
ああ、やっぱりそう思うよね。だって顔がそっくりだもの。
変に否定しても話がややこしくなるだけだ。わたしは諦めの境地で「はい」と短く答えた。
「素晴らしいわね! 悠翔くんも賢いからきっとお父様も立派だってみんなで話をしていたのよ」
嘘ばっかり、悠翔の父親は刑務所に入っているとか言ってたくせに。
それまで嫌悪の視線を向けてきていたのに、手のひらを返したような態度に驚く。医師という肩書きがここまでものを言うとは……。
なにかまだ話をしたそうなママさんに「失礼します」と声をかけて、早々にその場を辞した。
悠翔と手を繋ぎ、ゆっくりと実家を目指す。
――翔平、カッコよかったな。
不謹慎だけどそう思ってしまった。悠翔もいつか翔平の背中を見て色々思うんだろうな。
そんなことを考えながら、実家の父と母にどうやって説明するか考えながら歩いた。
実家では母が応接間に食事を用意して待っていた。
しかし帰ってきたのがわたしと悠翔だけだったので「喧嘩でもしたの?」と問い詰められた。
急な仕事が入ってと説明するとホッとした顔をしていた。