冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
 一糸まとわぬ姿になったわたしたちは、指を絡ませ足を絡ませ微笑み合い、甘い息で部屋をいっぱいにした。




「ねぇ、待って。ちょっと。もう!」

 翔平に縦抱きにされたわたしは足をバタバタさせて抵抗して見せる。しかし翔平はすたすたとわたしを抱いたままバスルームに向かった。

「風呂に入りたいって言ったの、瑠衣だろ」

「確かに言った、言ったけど! どうして翔平まで一緒なの?」

「ん、いいだろ別に。今さら」

 翔平の言いたいことはわかる。さっきまでさんざん裸で抱き合っていたのだから。

 でもやっぱり、それとこれとは違う。

 さっきは勢いもあったし、そういう雰囲気だった。

「ねえ、こんな冷静な状態だと恥ずかしいの」

 しかもこのバスルーム無駄に明るい。なんのために?と設計者に聞きたくなるほどだ。

 わたしがあれこれ言い訳している間に、翔平はさっさとわたしのバスローブをはぎ取ってしまう。必死になって手で隠すけれどそれじゃ追いつかない。

「早く湯船につかった方が、隠れるんじゃないのか?」

 クスクス笑いながら言う翔平が、バスタブにはったお湯の中に入浴剤を入れると、乳白色に濁る。

 なんだかまんまと相手の言う通りにしているような気がするけれど、彼の言う通りここでこんな体勢で立っているよりましだ。

 先に入っている翔平に見られないように急いでバスタブにつかる。

「そんなに恥ずかしいか?」

 彼に背中を向けて座る。わたしの横から彼の長い脚が伸びてきて、囲われるような状態で湯船につかった。

「そりゃそうだよ、三年前ならまだしも……」

 当たり前だけど翔平は三年前のわたしも知っている。だからその変化を見られたくないのだ。

 子供を産んだ体は明らかに以前と違っている。それはやっぱり好きな人には知られたくない。

 彼もなんとなくわたしの言いたいことに気が付いたみたいだ。

「そんなこと気にしてたのか」

「そりゃそうでしょ。見かけも随分変わったと思うし」

 自虐ではない。だけれどやはりあのときほど女としての自分に自信が持てない。

「確かに変わった。すごく柔らかくなったよ。体も表情も」

 ちゃぽんと音を立て、彼がわたしの腕をさすった。そしてわたしを自分にもたれさせるとゆるゆると撫でてくれる。
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