冷徹ドクターに捨てられたはずが、赤ちゃんごと溺愛抱擁されています
 そうは思うけれど、やっぱりうれしくて笑みを浮かべた。そんなわたしたちを見て、父と母もまたにこにことうれしそうに笑っていた。

 はじめて三人で撮った写真はとても思い出深いものになった。

 そして運動会が終わった後、翔平がみんなを実家まで送ってくれた。そしてそこで翔平が父と母に頭を下げた。

「瑠衣を少しお借りしたいんですけど、悠翔をお願いできますか?」

「え、ああ。こちらは大丈夫だが」

 真剣な翔平の様子に、父も母も快く引き受けてくれる。

 翔平は身をかがめて悠翔と視線を合わせる。

「パパとママは大事なお話があるから、じいじとばぁばと待っていてくれるか?」

 悠翔は理解していないようだが、にっこりと笑った。

「サンキュー」

 翔平は悠翔にそう言って、わたしを車に乗せた。

「お父さん、お母さん。お願いね」

「ゆっくりしてらっしゃい」

 父の腕の中で悠翔も手を振っている。わたしは悠翔を置いていく罪悪感を持ちながら思い切り手を振った。

 車が走り出すと、悠翔がさみしく感じる前に父が家の中に連れていってくれた。

「悠翔には悪いけど、今日はどうしてもちゃんと話がしたいから。勝手して悪い。だから瑠衣がそんな顔する必要ないからな」

 どうやらわたしの顔には悠翔を置いてきたことに対する、心苦しさが表れていたらしい。

「ううん、わたしもそうしたいと思っていたから。ちゃんと話をしよう。わたしたちのこれからについて」

 そこまで言ってわたしは、ハンドルを握る翔平の顔を見て伝えた。

「色々とごめんね。意地っ張りで」

「まぁ、それはいつものことだけど。そこを含めて瑠衣のことかわいいと思ってるのに、今回はイライラしてちゃんと話をしなかったから、俺もごめん」

 お互いの謝罪を受け入れたことで、気持ちがより前向きになった。

 この間のことは結局わたしの考えも翔平の考えもどちらも間違っていない。だからこそ、一番いい意見をふたりで見つけなければいけない。

 お父さんが言っていたことって、こういうことなんだ。

 まだまだはじまったばかりだけど、ちゃんとこうやって家族のルールを決めていこう。

「で、どこに向かっているの?」

 翔平のマンションで話をするのかと思っていたら、車は反対方向へと向かっている。彼は運転をしながら、静かに答えた。

「会ってほしい人がいる。本当は会わせたくないけど」
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