君がすべてを忘れても、この恋だけは消えないように
「うん。男同士ではよくこのモールに遊びに来るんだけどさ。やっぱりそうなるとカフェとかよりファーストフードになっちゃうんだよ。ま、別にハンバーガーも好きだけどさ。だから栞と来られてよかった」

「え……。樹くんとなら、カフェに来てくれる女の子なんていっぱいいると思うけど……?」


 素直に思った疑問を言葉にする私。

 すると樹くんは苦笑を浮かべた。


「うーん。そういうのめんどくて」

「……?」


 彼が言っている意味が分からなかった。

 そういうのって何?

 何がめんどいのだろう?

 それなら私とここに来るのもめんどいのでは?

 よくわからなかったけれど、あまり彼が乗り気な話題に思えなかったから、それ以上追及するのはやめた。

 ――すると。


「あのさー、栞」

「え……」


 今まで緩い感じで話していた樹くんが、急に真剣な表情になったので私は身構えた。

 な、何の話をするんだろう?

 何かの相談……?

 でも私たち、まだそんなに深い話をする仲じゃないと思うんだけど……。

 突然の彼の変わりっぷりに、緊張してしまった私だったけれど。


< 40 / 216 >

この作品をシェア

pagetop